ある晩、父親が帰って来たと思ったら、そそくさと自分の部屋にこもった。
いつもなら自分の部屋ではなくリビングにすぐに来る父だから、なにか様子が変だと思い、父の部屋の前に行くと、なぜか扉に今書いたばかりの「立入禁止!!」の貼り紙が張ってある。
「えっ、なんで?」もちろんノックをしても無言。返事なし。
すると中から「キュ~ン」と子犬の泣き声が聞こえて来た。
父:「静かに!!ママに見付かったら怒られちゃうでしょ!!」
それを聞いた私は直ぐに母に報告!
私「お母さ~ん!!お父さんがワンコを持って帰ってきてるー!!」
父「ちょっ!!違う!!今のは俺の鳴き声だ!!」
父:「キュ~ン」
子犬:「キュ~キュ~ン」
しかし、そんな努力もむなしく、母が急いで階段を駆け上がって来る。
母「お父さん、怒らないからドア開けてちょうだい」
「キキィー」と音を立てながらドアがゆっくり開くと、そこには小さいチワワを抱く父の姿があった。
父「だって拾ったんだもん…そのままにしたら可哀想だろ…」
母「じゃあ、何で拾ったワンコがペット屋さんのキレイな箱に入ってるのよw」
父「はっ!!隠すの忘れてた!」
見つかったら拾ったと言えば怒られないと思った父の後ろには、かわいいチワワの入ってた箱(近所のペットショップの名前入り)とペット用品一式、名前付けの本(人間用)が置いてあった。
ここ最近、お小遣を全く遣わずコツコツ貯めてると思えば、チワワが欲しかったんだね。
その後、犬を飼うと、どんな良い事があるかを熱弁して、なんとか母に許可してもらった犬好きの父は
今日もそのチワワとアヒルさんのおもちゃで楽しそうに遊んでます。
動画版「ほのぼの話」
#96【犬のほのぼの話】真面目な父がついた渾身の嘘はワンコの為の優しい嘘だった
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