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2年前に主人を亡くし独り暮らし。ある日玄関のベルが鳴り出てみると瀕死の子犬を抱えた知らない少年が立っていた・・・

 

ある日、ピンポーンとベルが鳴り、出て見ると、中学生の少年が立っていた!

 

「おばさん!この犬そこで車に跳ねられたんだけど、まだ生きてるの。どうしよう?」

 

その子の腕の中で、ぐったりした子犬がしっかり抱かれていた。

 

私は、大きめの洗面器にタオルを敷いて、そこにそのワンコを横たわらせた。

 

そして最寄りの動物病院に電話してすぐに愛車の軽トラックに乗り込んだ。

 

すると、少年が「ボクも行く!」というので、とりあえず乗せた。

 

「親御さんが心配するから電話して!」というと、親はまだ仕事から戻っていないと答えた。

 

その子は「県営のアパート暮らしで、ペットは飼ってはいけないんだ…」と寂しそうに言った。

 

少年の名前は健太君といい、中学1年生だそう。

 

健太君は、膝の上のワンコに「がんばれ!もうすぐだよ!」と言い続けていた。

 

やっと到着した動物病院で見てもらい、腰と後ろの右足の骨の矯正、少し内臓も切れているということで手術もした。

 

その後、3週間の入院となった。大きな出費になったが命には変えられない!

 

獣医さんから「すぐ来たから、大丈夫だったよ。偉かったね!」と褒められて、健太君はホッとしたのか嬉しくて泣いていた。

 

そんな純粋な健太君を見て私も泣いてしまった。

 

彼をアパートまで届け、3週間後に病院に一緒に行くと約束した。

 

3週間後、健太君と病院へ行く時に
「ボク、飼えないけど、名前をつけていいですか?」と健太君が話し始めた

 

「いいわよ!なんて名前にしたの?」

 

「セイってどう?生命力のセイ!生きるのセイ!」

 

「カッコイイ!いい名前ね〜」といいながら健太君の知的な思考にビックリした。

 

中学1年生、今回の事件で命について考えたのね〜と感心した

 

「健太君はセイの命の恩人だもんねー!」

 

病院に着くと、セイが健太君を見て「ワン!」と吠えた。

 

ちょっとお尻が下がったように見えるし、右足はびっこをひいていたが元気そうで安心した。

 

「少し後遺症は残りそうですが、歩けるし、食欲もすごいですから、元気に育つでしょう!」

 

「ありがとうございます」

 

「ヨシ!じゃあ、万歳しましょう!」

 

万歳?まあ、嬉しい事だからね。

 

健太君が大きな声で、「バンザーイ!バンザーイ!」と手を挙げた。

 

獣医さんが、ニコニコ微笑んでいる。

 

「健太君、嬉しいね〜! じゃあ、ワンコのお腹の傷を確認しようか?ワンコを万歳させてくれる?」

 

危ない!危ない!私も思わず手を挙げそうだったよw

 

健太君も分かったらしく、大笑いしているw

 

でもバンザイしたセイの傷はしっかり治っていた。

 

その帰りホームセンターでワンコに必要な物を買い、お祝いのケーキも買って、ウチでお祝いした。

 

「これからここが君の家だよ!丈夫に育ってね〜」

 

「おばさん、本当にありがとう!また、時々来てもいいですか?」

 

「どうぞ!どうぞ!学校の帰り道、どうせ通るんだから、時間がある時に寄ってきなさい!」

 

こうして、私はセイを飼うことになり、健太君との交友も始まったのだ。

 

私も、主人を2年前に病気で亡くし、ひとりで古民家に暮らしている身。

 

家の横の畑仕事や朝の散歩にセイが付き添ってくれている感じだ。

 

びっこをひいているが、それが歳を取った私のスピードにちょうど良いペアだった

 

そうして大きくなったセイは自慢の美男子になった。

 

健太君も、気軽に寄ってくれるし、夕方散歩に行ってくれる。

 

部活引退した!受験受かった!中学卒業!と健太君の成長を、セイと一緒に見守った。

 

高校入学してから、なかなかウチに来ることは難しくなったが、事あるごとに顔を見せに来てくれた。

 

高校卒業して大学で田舎を離れ、就職した時などもキチンとハガキが届いた。

 

そんな健太君に「なんて律儀なの。若い子なのにね…」と感心した。

 

そしてある日突然「今度のお盆休みに帰省するので、会いに来る」と言うハガキが届いた。

 

「セイ、健太君が来るって!」

 

「ワン!ワン!ワーン!」

 

セイも嬉しい様子。私もなんだかソワソワして、来るのが待ち遠しく思った。

 

ピンポーン!
「ワーン!ワーン!」

 

立派に成長した健太君が玄関に立っている!

 

笑うと中学生の頃の健太君を思い出すが、すっかり社会人。

 

2人で昔話に花を咲かせていたら、おもむろに健太君が封筒を出した。

 

「おばさん、セイを助けてくれて本当にありがとうございました。突然だったのに親切にしてくれてありがとう。これ、少しだけど、セイの手術代。遅くなったけど…」

 

「えー、要らない、要らない!」

 

「イヤ、でも僕、働くようになって思ったんです。突然、僕がワンコ持って来て、手術と3週間の入院で、どんだけ出費したんだろう?おばさん、なにも言わないでいろいろやってくれたけど、大変だったんじゃないかなって思って。あの頃は、僕はセイの事しか考えてなかったから。ありがとうございました。」

と言って、深々と頭を下げて封筒を私の方へ押した。

 

もう立派になった健太君が急にそんな事を言うもんだから、涙が溢れて止まらなかった。

 

「もう、いやね〜歳を取ると涙もろくなっちゃって!でもね、その言葉だけで、おばさん、とっても嬉しい。田舎の年寄りは結構ヘソクリがあるのよ!だから大丈夫!」
と封筒を健太君に戻した。

 

納得がいかないって顔をしている健太君。

 

「私こそ、健太君に感謝してるのよ。セイが来てくれたし、こんなおばさんに若くてカッコいい友達が出来たんだからね!十分若返らせていただきました。ありがとう!」

 

そしてじゃあお互い様ということで、2人でバンザイしてセイもバンザーイさせた!

 

なんで?と不思議そうなセイ

 

「おばさん!こりゃ、ずっと言われるね〜」

 

1匹とふたりで大笑いした。

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